文字の海。言葉の星。

▽ しゃかい の ごみ

2015-01-01から1年間の記事一覧

世の中が私を仕立て上げた話。

あたしは生まれ変わったら鳥になりたい。だってそうすれば自由に空を飛べるから。最初は良かったの。そう、最初のうちは。いつもニコニコしていて、明るくて元気。どんな時でもポジティブ。とにかく笑顔。世話焼きで凄く良い子。とにかく面白い子。それ以外…

M。

君に噛み付く。君は笑う。君のふっくらとした下腹を殴る。君は嘔吐する。そして笑う。君の首を締める。君は目を細める。そして笑う。君とセックスをする。君は少し痛がる。そして笑う。君に好きだという。君は怪訝な顔をする。冷えた顔で興醒めだと僕を突き…

夢で死ぬ話。

夢で死んだ。夢の中で死んだ。それはもう思いっきり死んだ。他殺なのか自殺なのか分からないけど、ただ死んだ。死ぬことは心地良かった。深い底無し沼のような温かい暗闇にずぶずぶと沈んでいくようなかんじ。 母親の胎内へ帰るみたいに思えたそれは私にとっ…

もしものはなし。

もしも。ねぇ、もしもよ。 微炭酸ソーダのぱちぱち弾ける海の底の、お砂糖でできた貝殻のお城に住んでいたら。水色と白色と金色のクレヨンを少しずつ混ぜあわせた腰まで届くような波打つ髪をしていたら。すみれ色の夜空に輝く星を一つ残らず集めて、はちみつ…

さよならマーチ。

朝起きる。カーテンから入る日差しがベッドでゆらゆら揺れて、あったかい海の底にいるみたいだ。あたしはうーんと伸びをしながら人魚姫になって、光るような真っ白いシーツに波を立てる。今日も世界は平等で、誰にでもすべからく温かくて優しい。 死んじゃう…

例えばこんな、

母さんは僕がいないとだめなんだ。僕がいないとダメだから僕を殴るんだ。母さんは自分の手が痛くなるまで僕を殴って、僕の鼻の穴の片方から生温い赤い血がツゥッと伝ってきたところでハッとして小刻みに震え出す。そしてさっきの罵詈雑言を塗り潰すみたいに…

安眠法。

不安でたまらない、自分が分からない、価値ある人間でいたい、認められたい、消えてしまいたい、色んな思いが交錯して夜眠れなくなるあなたへ。とっておきの方法をご紹介。まずは胸に手を当ててゆっくりと撫で下ろしてあげましょう。 次に自分の心に言い聞か…

片想いろまんちっく。

私の好きな人を紹介します!サラサラのショートカットがよく似合う丸顔の子で笑った時の八重歯がとっても可愛い子。 身長は私より低いけど元気にちょこちょこ動く仕草は小動物を連想させて思わず抱き締めたくなるの。女の子って世界で一番可愛い生き物だと思…

メルヘン青春。

お友達は人魚姫。 恋人はユニコーン。お空はいつだってピンク色。だから平気なの。他の人になんて言われようと パステルに塗り替えた上履きに画鋲を入れられようと マカロンのシールを貼っつけた机に少し変わったイラストを描かれようと 痛くも痒くもないの…

メンヘラプソディー

あのね!あたしね!!生きてるって実感したいわけじゃないの!そう、そうなのよ!許されたいの。許してほしいのよ。誰に? わかんなーい!だってだってだって、痛みって一番分かりやすいじゃない? 手っ取り早いじゃない?はい、君の罰だよーって、そんなかんじで。お…

せちがらい

変わらない場所変わっていく人自分という壁他人からの評価それら全てに傷付いて傷付けて1人また1人と去っていく人を見つめる満足した顔、悲しい顔、悔しい顔、自嘲的な顔、見ないふりをしている顔、申し訳なさそうな顔色んな顔で君たちは去っていくそうやっ…

ポップでキュートな彼女たちの恋愛事情。

このお部屋の棚には秘密がある。あたしが飾り付けした素敵なお部屋。白とピンクのカーペットに、レースでヒラヒラした薄い綿菓子みたいな天蓋付きのベッドに、ハートの形を模したソファーに、お姫様が使ってるようなクローゼットとドレッサー。 可愛いものを…

送信ボタン。

『あんたなんか大嫌い。うざい。死ね。』手慣れたフリック入力で携帯の画面に文字を打つ。負の感情を表現した文字の羅列が真っ暗な部屋に浮かび上がってくる。 もう3時かぁ。 ぼんやりそんなことを考えながら無機質な手の平サイズの温もりをカイロ代わりにし…

ゾンビガール私。

私が私であるために必要不可欠なものは他人だ。他人からの評価。 他人からの愛情。 他人からの視線。第三者から何らかの形で承認されてこそ初めて私は私として形作られるような気がしていた。そしてそれを失うのが何より恐怖だった。夜眠ろうとベッドへ入る…

無知。

人類よ、無知であれ。何も知らないままであれ。羞恥心。恐怖心。 大人になる方法。 カッターナイフの使い方。 穴の開け方。 薬の飲み方。他人を傷付ける理由。 自分を傷付ける手段。 鉄砲や大砲の作り方。 便利さ。それら全てに無知であれ。知らないままであ…

死にたがりちゃん。

あー、死にたい。それがあたしの口癖だ。息子が母親殺したって今朝のニュースでやってた。 あー、死にたい。朝ごはんのお味噌汁がしょっぱかった。 あー、死にたい。学校へ行くと友達が話しかけてきた。上っ面のくせに。 あー、死にたい。大好きなあの人に話…

眼球キャンディー。

彼女の眼はとても美しい。琥珀色で、意志の強さを物語るかのように怜悧に輝いている。 惜しみない愛をその眼光に乗せて僕を見つめる。2つの眼球は僕にとって月であり花火であり真珠であり、またとても甘美なキャンディーのようにも見える。から、僕は彼女の…

深海ロンリネンス2。

寂しい人魚の王子様は地上へ出る決心をします。翡翠の鱗をきらきらと輝かせて少しずつ上へ上へと登ってゆきました。初めて見上げた空は夜でした。 美しい貝殻や珊瑚に負けないくらい光るヒトデが空には沢山いたので王子様はとてもびっくりしました。そうして…

深海ロンリネンス。

海に沢山人魚がいたのはもう昔のお話です。人魚は1匹につき1匹しか赤ちゃんを産めません。そして出産を終えた女の人魚はすぐに死んでしまいます。ある年、全く女の子の人魚が生まれなくなりました。王様の人魚は日に日に焦り、何人もの奥さんに子供を生ませ…

セックスと言葉と

25時30分を少し過ぎた頃。安っぽいホテルの部屋の中で折り重なるみたいに、あるいは死んでるみたいに息をする私たちがいる。彼の身体の一部が私の身体の一部からずるりと抜け出ていって喪失感と安堵感に息を漏らして腕を放り投げる。内臓を引きずり出されて…

タイトル未定の物語2

「天使。」長い沈黙の中で僕が発した言葉はとても素っ頓狂なものだった。すると彼女の方も今まで僕に気付いていなかったのか、僕の言葉にぴくりと反応するとゆっくりとこちらを向いた。僕の時間が止まった。息をすることも儘ならなくて僕の黒い瞳は白い天使に…

タイトル未定の物語1

夜のニュースから流れてくる情報によるとクラゲの飽海期もそろそろピークだそうだ。 今夜は海に飽きたクラゲたちがより一層空を泳ぐらしい。僕は怒号まみれの家をひっそりと飛び出してこの街で一番高い丘に行く。 そう、この辺りで一番月に近い場所だ。一冊…

清算。

伸びた前髪を眉上まで切った。暗くて重い帳が目隠しをして視界が前が黒くぼやけてしまう前に。人生の一瞬を清算したくなった時に私は前髪を切る。結構な意気込みで臨んだ面接の手応えを感じなかった時とか、大好きな彼と大喧嘩した後の、あのもやもやした気…

趣旨。

日記とか詩とか小説とか読書感想文とか。ごちゃごちゃしたものを書き綴ってゆきます。綺麗な言葉がすき。