文字の海。言葉の星。

▽ しゃかい の ごみ

もしものはなし。

もしも。ねぇ、もしもよ。


微炭酸ソーダのぱちぱち弾ける海の底の、お砂糖でできた貝殻のお城に住んでいたら。

水色と白色と金色のクレヨンを少しずつ混ぜあわせた腰まで届くような波打つ髪をしていたら。

すみれ色の夜空に輝く星を一つ残らず集めて、はちみつで固めたぱっちりとろける瞳だったら。

真っ二つに醜く裂けた2本の足の変りに、
エメラルドを薄く伸ばした鱗と小さな白い真珠の欠片を沢山敷き詰めたお魚の尻尾が生えてたら。

絵本の中に住んでいたら。
お姫様だったら。

わたしがもっとかわいかったら。

あなたは私を選んでくれたかしら。
あなたは私を愛してくれたかしら。

夢を見ていたい、夢をみていたい。
有りもしない夢。
あなたが私の手を取って、抱きしめて、私の輪郭を指先でなぞって、キスで殺してくれる夢。

全部嘘っこだよ。もしもの話。