文字の海。言葉の星。

▽ しゃかい の ごみ

2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

眼球キャンディー。

彼女の眼はとても美しい。琥珀色で、意志の強さを物語るかのように怜悧に輝いている。 惜しみない愛をその眼光に乗せて僕を見つめる。2つの眼球は僕にとって月であり花火であり真珠であり、またとても甘美なキャンディーのようにも見える。から、僕は彼女の…

深海ロンリネンス2。

寂しい人魚の王子様は地上へ出る決心をします。翡翠の鱗をきらきらと輝かせて少しずつ上へ上へと登ってゆきました。初めて見上げた空は夜でした。 美しい貝殻や珊瑚に負けないくらい光るヒトデが空には沢山いたので王子様はとてもびっくりしました。そうして…

深海ロンリネンス。

海に沢山人魚がいたのはもう昔のお話です。人魚は1匹につき1匹しか赤ちゃんを産めません。そして出産を終えた女の人魚はすぐに死んでしまいます。ある年、全く女の子の人魚が生まれなくなりました。王様の人魚は日に日に焦り、何人もの奥さんに子供を生ませ…

セックスと言葉と

25時30分を少し過ぎた頃。安っぽいホテルの部屋の中で折り重なるみたいに、あるいは死んでるみたいに息をする私たちがいる。彼の身体の一部が私の身体の一部からずるりと抜け出ていって喪失感と安堵感に息を漏らして腕を放り投げる。内臓を引きずり出されて…

タイトル未定の物語2

「天使。」長い沈黙の中で僕が発した言葉はとても素っ頓狂なものだった。すると彼女の方も今まで僕に気付いていなかったのか、僕の言葉にぴくりと反応するとゆっくりとこちらを向いた。僕の時間が止まった。息をすることも儘ならなくて僕の黒い瞳は白い天使に…

タイトル未定の物語1

夜のニュースから流れてくる情報によるとクラゲの飽海期もそろそろピークだそうだ。 今夜は海に飽きたクラゲたちがより一層空を泳ぐらしい。僕は怒号まみれの家をひっそりと飛び出してこの街で一番高い丘に行く。 そう、この辺りで一番月に近い場所だ。一冊…

清算。

伸びた前髪を眉上まで切った。暗くて重い帳が目隠しをして視界が前が黒くぼやけてしまう前に。人生の一瞬を清算したくなった時に私は前髪を切る。結構な意気込みで臨んだ面接の手応えを感じなかった時とか、大好きな彼と大喧嘩した後の、あのもやもやした気…

趣旨。

日記とか詩とか小説とか読書感想文とか。ごちゃごちゃしたものを書き綴ってゆきます。綺麗な言葉がすき。