文字の海。言葉の星。

▽ しゃかい の ごみ

人魚。

あたしは人魚。


夜を泳ぐ人魚。


星屑が鱗にまとわりついてキラキラするの。


呼吸の仕方なんてもう忘れちゃった。

必要ないでしょう?


あなたと二人っきり、宇宙の片隅にそっと投げ出されて、ねぇずっとキスしていよう。


あなたは王子様。


火星も木星も金星も、全部あなたのものね。


土星の輪っかで王冠を作りましょう。


必要なものは抱き合う腕。

他に何がいるっていうの?


あなたと二人っきり、世界で二人ぼっちになっちゃってさ、ねぇずっと離さないで。


流れ星を捕まえてどこに行こうか。

次の場所に行くまであと何億年かかるかしら。

たくさん話をしよう。

浮かんで消えてく泡みたいなことを。


あたしたちの境界が無くなるまで融け合うくらいに一緒にいようよ。


また出会えるように。

思い出せるように。


あたしたちは宇宙の星のひと粒。

おとぎ話の1ページ。


あたしたちには何も無いね。

昨日も今日も明日も。

世界に何も残せなくても、それでもいい、それでいいの。


あ、

  そ ろそろ、


     まぶた、おも


            い、の。

お 

   や  

 す  み


         い。